夢女日記

今日も元気に夢見てる

夜への覚悟はあるのか

ライブがあるんだ。



金田さんからの久々のメッセージはただその一言だった。
どこで、何時から、そもそもいつだよ、と情報をつけろよ。
と若干のいらだちを感じたものの幸いなことにバンド名を知っている上に、知らなくても金田さんのSNSから飛べばいいだけの話だ。
それぐらいは調べる能力は持っている。
日常生活のほとんどを計画立てて遂行できているのだから、そんなこと余裕だ。
ネットに顔を軽率には出してはいけません、ツイッターは発信ツールだからと言って人を傷つけるようなことは言ってはいけません。
そんなことだって私は知っている。
めっちゃリテラシー高い系だから知っている。




そんな話をしたいわけではない。




バンド名をぐーぐる先生に打ち込んで0.01秒で検索結果が表示される。
その一番最初のリンクにそのバンド名はあるし、画像検索結果では新しいアーティスト写真が表示されていた。
うーん。2つ前ぐらいの方が好みだけれど、これもこれでかっこいい。




じゃなくて。




明日ライブ。夜にライブ。東京でライブ。




ここは京都で私は来週に試験を控えていて、勉強がやばいわけではないけれど東京でライブ。
確かに日本の首都は東京であって、世界最大密度の人がいるとは言うけれど。
軽率に東京でライブしすぎじゃないですか?軽率にツアーのラストを東京にしがちじゃないですか?
まって。そして、そんなことを今更私にいいますか?



金田さん、いろいろ待ってくれ。
状況を察するに、明日行われるライブは彼らの過去最大規模で行われる。
そして前日に私に連絡をするのだから、これはおそらく、きっと。
人が。
うん。
考えたくない。




連絡はただその一言だったので、アプリ自体は開いてなどいない。
あいふぉーん。のぽっぷ通知で確認した。
既読にすらなってないし、私はこのまま金田さんの発言を無視してしまうことも可能なのだけれど。
むしろ、関係を断ち切るには無視をするべきなのだろうけれど。




そうしてしまっていいものだろうか。




考えるけれど、答えは出てこない。それが正解なのか、そうでないのか。




そもそも、東京のライブ会場に行く勇気が私にはない。
なんだかとても怖いのだ。向き合ってしまうことが。
あの視線に、事件に目を向けることが。




ホーム画面に戻ると、ラインは一件の未読連絡通知を示したままだった。
見るか、みないか、無視を決め込んでしまうか。
そんな簡単な、指先の動きで私は過去も未来も決めてしまわなければいけなかった。

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