夢女日記

今日も元気に夢見てる

基本料金2000円+

今週のお題「髪型」


どうせ家に帰っても集中力がないのは同じことなのでこのまま美容院に行くことに決めた。
長い髪の毛を一層のこと、ショートぐらいまで切ってしまえばいいと、思ったからだ。
髪を切って人生が開けるわけではないとは思うけれど、それでもいい気分転換にはなる。




重々しい黒い髪の毛を染めてみてもいいかもしれない。
体の都合もあるから、ちょっとぐらい派手に染めてもいいかもしれない。
灰色のメッシュを入れてもかっこいいかもしれない。
とにかく、今の私は自分を、自分自身で何かを変えたくて仕方がなった。




からん、と美容院の扉を開けると随分とこんでいるらしく、簡易的な受付を済ませたあと1時間ほど待つことになった。
外で待ってくれても構わない、と言われたけれど普段ほぼ全く目にしないファッション雑誌に惹かれて店内で待つことに決めた。




華のセブンティーン向けの雑誌は私には少し若すぎるけれど、今なら堂々を見ることができる。
ああ、こんな服が着てみたかった、あんな友達が欲しかった、と少しだけ思いながら過去と未来を行き来する。
髪を切る、そんな感覚で過去とも決別ができたらいいのに。





過去に未練や後悔がないといえば全くの嘘になってしまう。
けれども昔よりもずっと今の方が幸せだと心から思える。
私はきっと、本当の私はきっと随分昔に死んでしまったのだから。
殺してしまったのは、まぎれもなく私と、私の世界だった。




「お客様、大変お待たせいたしました。本日はどのように?」
「ええ、と」




ついに自分の番が回ってきて、頭ではこんな髪型にしようと決めていたのに、口から出てきたのは。



「伸びた分をカットで」



そんな面白味のない言葉だった。
席に案内されて、特にこれといった会話もせずに、髪の毛は切られて、随分見慣れた自分がそこにいた。
少しだけさっぱりとはしたけれど。




変わろうと思っていたはずなのに、変われなかった。
結局、今もまだ私は過去に置き去りにされたままだ。
ね、過去の私、寂しいね。ごめんね。
でもね、愛してあげられないよ。
私のこころは、彼のものだからね。




「素敵にしてくださって、ありがとうございました」



それでもね、昔より少しだけ自信がついたよ。
髪を切って人生はすぐには変わらないけれど、何かのきっかけになってくれれば。とは思う。
心底から。




自分の人生はきっとまだ長い。劇的に変わることはないかもしれないけれど、それでも未来を夢見て空を仰ぐ。
美しい夕焼けだった。
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