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夢女日記

今日も元気に夢見てる

鴨川の河川敷

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京都の定番のデートスポットといえば、どこだろうか。手にした観光ブックには寺や神社や、ちょっとしたカフェなんかが載っているし、それに景色を彩る草木や伝統的な催しがどこかしらであるのが京都だ。そのなかでも、デートスポットといえば、どこだろうか。ブックを閉じて目を閉じる。

 

 

 

季節は春だ。穏やかな気候、暖かな温度。パンツよりも風に揺れるスカートって気分。お気に入りのスカートを揺らしながら、春色のブラウスもご機嫌に着ちゃったりして。金田さんと、歩きたい。何気ない京都らしい、裏道のような、よく見ないと見逃してしまいそうな路地をぺちゃくちゃおしゃべりしながら歩きたい。

 

 

 

そうと決まれば、話ははやい。時計はまだ13時を少し過ぎたぐらいをさしている。デートをするにはまだ時間は十分だ。

 

 

 

「金田さん、金田さん。お暇ですよね?」

「開口一番がそれ、いや、暇だけど」

「デートしましょう」

 

 

 

この前買い換えたばかりの携帯ケースを少しだけ乱暴な手つきで取り寄せて、ダイヤルの一項目目、恋人のようで恋人じゃない、私の憧れで夢、そのものの人に電話をした。

幸いなことに今日は彼にも予定はないらしく、そして最も幸運なことに、彼も手持無沙汰で携帯を触っていたようで、ワンコールで出てくれた。

 

 

 

金田さんの声が好きだった。柔らかで大人の声。

その声から連想されるように、顔つきも穏やかで、私は好きだった。

初めて会った時から、今もきっと。

 

 

 

「それじゃあ、京阪の清水五条駅で待ち合わせにしましょう」

祇園四条じゃなくて?」

「今日は、鴨川沿いを歩こうと思いまして」

 

 

定番のデートスポットといえば鴨川沿いだろう。それが私の出した結論だった。鴨川の河川敷に等間隔でカップルたちが並んで、パンとかお菓子とか食べちゃって。そして頭上からトンビに狙われて、それを横目でみて笑うんだ。笑ってやるんだ。へへへ。

 

 

 

「それじゃあ、14時に改札口に」

「はいはい、それじゃあ」

 

 

 

またあとで。と聞こえる声が私を幸福にさせる。部屋の中は陽が射して穏やかで、それと同じくらいに私の心も晴れやかだった。お気に入りの、水玉のスカートに、春色のブラウスを合わせて、髪の毛もご機嫌にセットしちゃって。いつものカバンに財布とICOCAと携帯と、ティッシュとハンカチ。あと必要最低限の化粧品。

 

 

化粧は朝に済ませておいた。髪の毛だってある程度整えておいた。えらいぞ、自分。だから足取りがかるい。かるい。今ならどこまででも歩いていけそうな感じだった。新調したスニーカーで外に飛び出せば、春の香りが鼻をかすめていった。

 

1050字。今日はここまで。